一年の最後を表す『大晦日(おおみそか)』
この『晦日』は本来『三十日』と書き、月が終わる日を示していました。
旧暦では29日か30日が月末で、その締めくくりに『大』を添えて、特別な区切りとして『大晦日』と呼ぶようになったのです。
そして同じく年末の象徴である除夜の鐘。
鐘をつくのは元旦だと思われがちですが、本来『除夜』とは大晦日の夜そのものを言います。もともとは仏教が伝来する前の中国で、禅の修行者達が年の変わり目に邪気を払っていたのが習わし。それが室町の頃には日本でも広まり、いつしか年越しに欠かせない行事となりました。
年末年始とは、昔から日本人が『心の帳尻』を整える時期だったのだと思います。感謝も有れば、反省も在る。弱い自分と向き合いながら、それでも前を向こうとする。そんな時に響く鐘の音は、寒空の下でも胸の奥をそっと温めてくれます。年越しそばを手繰りながら、今在るご縁を思い、切れても良い縁は静かに切り、くる年にそっと希望を置く。そのひとつひとつが、昔の人の智慧であり、心の整え方です。
この一年、皆それぞれに悩みや戦いがあったと思います。表には出さなくても、苦しい夜を越えてきた人もいるでしょう。でも、それでも歩いてきた。それだけで、立派です。仏というのは、遠くに鎮座した『偉い存在』だけじゃないです。正しくあろうとする気持ち、優しくあろうとする勇気。
踏ん張ろうとする心。その全てが、もうすでにあなたの中の仏性です。
どうか胸を張って今年を締めくくって下さい。
来年もまた、共に歩いて行きましょう。
合掌